アプリケーションの新時代

2011年のアプリ環境を考えたとき、「一発ネタじゃない」「固有の体験性がある」「継続的な発展性がある」アプリが続々リリースされている事を強く感じます。かつてはスマートフォンアプリを開発する事そのものに意味があった時代があり、2009年頃であればネタさえ面白ければ、あるいは既にあるウェブサービスのリモコン的位置付けでも充分に価値がありました。
たとえばカメラアプリはかつて撮影と編集が機能の中心でした。それがInstagram以降は撮影体験にシェアリングの要素を加え、フィルタリングとコミュニケーションの結合した新しい体験性が人気を博し、その結果としてカメラアプリを入り口にしたソーシャルサービスが普及しました。
最近リリースされたばかりのBatchなどは、イベントを作成して参加者同士がそこでシェアをする体験性をうまくすくい取って、ソーシャルなシェアを現実体験に結びつけるユニークな製品価値を実現しています。My 365の場合は一日一枚をカレンダーに並べ、それをソーシャルにシェアすることで個々のユーザーの個性や価値観をお互いが伺い易くしています。これも固有の体験性と継続的発展性に繋がる製品価値と言えます。

日本のスタートアップはそういった競争環境で、ユニークな体験性や新しい関係性を発見創造する力を充分に持っていると思います。あとは、それをいかにグローバルな環境でも闘えるだけのスケールに成長出来るのか?そのための組織や資金をいかに準備して行くのか?のフェーズに差し掛かっている様に感じます。
そこで思うのはシリコンバレーのプレイヤー達が、例えばアップルだろうがグーグルだろうが、ある意味ゴールデンステートの教育機関を中心に人脈形成し、その底流で高度な協力関係を構築している事です。それは結果として、組織と資金の双方に大きな効果をもたらしています。

今回SXSWに向けて1000人のサムライが集結するというプロジェクトに向き合っているのは、ある意味急ごしらえとは言え日本のスタートアップが共に力を出し合い、限られた時間と空間で闘う機会をシェアすることに非常に期待をするからです。それがシリコンバレーの"場"が持つ力にどの程度拮抗出来るかはともかく、そういった土壌を形成するキッカケ程度でも良いので機能をすれば、本当に大きな意味が有ると考えるのです。