常識を捨てる。オリジナルの視点を持つ。それを鋭く貫き通す。

先週土曜には NOMDAD NEW'S BASE で開催された StartUp Dating イベントに参加して来ました。そこで幾つか素敵な製品に出会って来れたのでメモしておこうと思います。


まず、その一つ目は「Facematch」です。僕も少しだけお手伝いさせて頂いた Breakthrough Camp のベストに選出された製品ですが実際に触るのは初めて。でも、その利用導線/体験価値が非常にしっかりしていて驚きました。
顧客に訴求すべき付加価値が明確で、ユーザーシナリオが非常に良く練られていると感じました。なかでもUI/UXデザイナーが何回か交代して制作されたと言う体験性のデザインが秀逸で、ここまで操作性が優れていると同じコンセプトで開発したとしても、ひと味もふた味も違う製品になるなと思いました。チームとしての結束力とそれを牽引するリーダーシップが製品の背景に有るのかも知れません。

あと、もう一つは「SnapDish」です。これは一見グルメ系Instagramの外観で、そう受け止めた際には余り面白く有りませんでした。ところが、現実のコンテンツは主婦が家庭で手作りした手料理のスナップが中心で、ある意味手料理を軸にしたライフログなのですね。
ですから、目に飛び込んで来る料理写真がなんとも温かく、自然とそれを食べてくれる子供達の笑顔がこぼれてくる印象です。なるほど、同じ料理を扱っても、家庭料理をシェアすることで巻き起こるインタラクションはまるで異なるでしょうし、そのパーソナル性や共感の強さは独特の求心力を持っていると感じられます。非常に面白い製品でした。

ちょうど同じタイミングで「My 365」という「一日一枚の写真を公開して行くフォトログ形式のアプリ」を体験した時にも思ったのですが、モバイルアプリならではのエンゲージをうまく活かし、独自の価値軸でユーザーを巻き込んで行くタイプの製品がこうして出て来る事に、日本のスタートアップのある種の成熟を見る思いがします。

Facematchの場合の「気になる女の子との出会い」にしろ、SnapDishの「手料理を通じた共感共有」にしろ、My 365の「一日一枚の写真に想いを込めるフォトログ」にしろ、要するに固有の価値軸で何を軸足にするのか?何を出会いの切り口にするのか?どういうコンテキスト(情報の糸口、情報のつなぎ目)を追求するるのか?が、非常にシャープです。
そして、そのシャープさはアプリケーションに於ける価値軸の明確な仮説化を起点にしているのではないか?そして、そのシャープな仮説が有るからこそユーザーシナリオが明快であり、開発者と利用者の間に強い紐帯が生まれるのではないか?と思います。

何か価値を提供するには多くを捨て去らないと行けない、その1000のNOを言い続ける事、それは気まぐれなYES/NOではなく固有価値を追求するシャープな仮説が起点であるべきでしょう。
日常の生活感覚を切り換える固有の視点、新鮮な気付きが必要です。"小さい発見と発明"こそが大きな世界観の変革をもたらすのだろうと思います。