我田引水的交渉術とは? グローバルITに向けて...

ThinkAct Summitでいろいろ話をさせてもらった際に感じた事、なるほど「それは頓智と言う会社が海外でも一定の知名度があるから..」と言う言い方は良くされます。でも、(それは少し考えれば分かるのですが)どんなに知名度があっても会社対会社のディールなのですから双方得が無ければ基本的にディールは成立しません。なので、少なくとも何らかの営業ディールをする際に相手がすんなり納得出来るメリットがあることは凄く重要なことです。

でも、ある意味日本人は非常に謙虚で、事あるごとに謙遜したり遠慮したりと言う傾向が強い様です。ただグローバル展開をしよう!と言う時にそういった姿勢で臨む事は非常にネガティブです。基本的には謙虚さを示す事は自信や確信の欠如になります。正々堂々とディールをしよう!という積極的意欲を伝える上では非常にマイナスです。
ですから、そういう点では自分自身凄く気をつけています。例えば、Google Goggle の人達とお話をしたときは「僕達と組んだ方が、コンシューマージェネレーテッドの画像認識体験はより効果的に広がるよ!」というオファーしました。あるいはAmazon の人達とお話した時は「現実空間でソーシャルコマースをやるんだったら、セカイカメラを使った方が効果的だよ!」という説明をしました。

いずれも一定の納得度があったと思うのですが、そこにはひとつ非常に重要なロジックが潜んでいます。それは何かと言うと「自分の得意領域にディールの土俵を移す」と言う事です。
たとえどんな世界的巨人でも、森羅万象すべての領域に全力を集中している訳ではありません。少なくとも現実世界を通じたソーシャルネットワークや現実空間型のコンシューマージェネレーテッド・メディアはまだまだ未開拓でまったく勝者の見えない領域ですから、少しでも先行して経験値を持っている場合は一定の確度で優位性を示す事ができます。

ですから、何らかの新しい着眼点/創意工夫で他と異なる先行ポイントがあれば、それは工夫次第で幾らでも武器に成りますし、相手がいかに凄い超弩級プレイヤーだとしても提携(あるいは何らかのディール)の可能性はあります。
そして、そういった差別化の工夫こそ、恐らくスタートアップならではのブルーオーシャン戦略とどこかで繋がっています。
また、たとえそれがブルーオーシャンとして明示的に切り取れなくても、競合の少ない独壇場を構成する契機に繋がる場合があります。ですから、価格交渉とか実装機能による差別化等よりも独自視点による独自価値の切り出しにフォーカスすることは非常に意味があると思います。他がやらない事をやるという事は、そういった意味で一定の整合性があります。

そして、そういった創意工夫によって「得意を伸ばす事」は、知名度云々とは全く違う尺度でそのスタートアップに「他に無い、競争力のある商品性」を与えてくれる可能性がありますから「有名だったから..」と言う事は実は余り重要じゃないと思っています。

そもそも世界に通用する独自価値を持っていると確信するならいきなりアポ無しでグーグルやアマゾンに出掛ける事になんら躊躇は無い筈です(出掛ける必要がある場合以外、特にお勧めしませんが)。
今ならLinkedInやFacebookを使ってコネクトする事など幾らでもアクセスの方法はあるのです。世界は目の前に開かれています。そして、そういう機会に遠慮や謙遜は不要です。我田引水上等です!と、言うよりも、我田引水で無ければ勝負になりません。