ソーシャルメディアのその次は?

さて、スマートフォンソーシャルメディアの結合は新しい競争ステージを日本のスタートアップにもたらしつつあると言う事を先のエントリーで書いたのですが、そこで独自のコア価値をもたらすプレイヤーであるためには当然、いわゆる「タイムマシン経営」的なコピーキャットである限り困難です(ただ、中国の場合は、グレートファイアーウォールの存在もあり、コピー製品であることが非常に意味を持っています)。

ですから、自分としてはソーシャルメディアの次こそがチャレンジしたい領域です。「Local-Graph」と言う概念はIVS 2010 Fall Kyotoで触れたアイデアなのですが、人がその時その場にいることをベースに、様々なソーシャルな行動をデジタル情報として取り扱う考え方です。そして、拡張現実という方法論こそ、そういった「here and now」な情報のコーディネーションを積極的に取り扱うべきと考えています。

I always think of 4Sq as “Poor man’s Augmented Reality”
I don’t like the model of having to hold the phone in between the user and the world.
I like the idea of it’s in your pocket and quietly buzzes and lets you know when there are things to know nearby. It just seems less intrusive, and more accessible. 4sq is a kind of Augmented Reality, but not in the sense that most people think about it.

上記のコメントはFoursquareのCEO Dennis Crowleyがフランスで開催されたLa Webでのインタビューに答えたときのものなのですが、ロケーション系ソーシャルメディアを主催する北米のプレイヤー達が最近拡張現実と言うキーワードを口にする機会が増えています。そして、その際の拡張現実とは、必ずしもライブビューにデジタルオブジェクトを表示するタイプの物ではなく、むしろリスト表示やマップビューなどのより簡易なプレゼンテーションを用いた物です。

The interesting thing here is that there’s a lot of overlap between the features offered by these companies. Recently, Facebook launched Places, a mobile geo-location service that mimics Foursquare local check-ins. Yelp also added check-ins, and recently rolled out Yelp Deals, a Groupon clone.

上記の記事The Future of Local Commerce = Facebook + Foursquare + Yelp + Grouponでも指摘されている様に、ソーシャルグラフの先にあると目されているローカルコマースあるいはリアルコマースといった方向性は、ソーシャル関係性をリアルな現実空間での行動に繋ぎ込んだ物に進化しつつあります。

そういった視点で見た場合気になるスタートアップは、既に幾つも登場しています。例えば有名どころでは、Path、GroupMe、GetGlue、Hashable、Instagram などのスマートフォンアプリも活用しながら現実体験を拡張してくれるサービスです。たとえばHashableの場合は下記の様なサービスを謳っています。

The easiest way to make introductions on the go.
The fastest way to send contact info and build your network.
The only way to track your meaningful interactions with people and show your strongest relationships over time.

TwitterFoursquareが切り開いたソーシャル&ロケーションの新領域なのですが、Check-In の対象拡大と、さらにFollow 関係に応じて新たに形成されるソーシャルストリームを、人間行動の可視化及びそこから生まれる関係性のエコノミーにいかに結びつけて行くのか?非常にユニークな試行錯誤が既に始まっているのです。そして、この分野こそ2011年最もホットな領域だと考えます。
ただ、それをどういったキーワードで切り取るのか?( Local-Graph 以外にも色々な呼び方がありそうです)は、まだまだ「これだ!」と言う言葉がありません。自分としては Augmented Reality はこれら新領域を指し示す上で(クラウドやソーシャルと同様の使い方として)非常にフィットする概念ではないかと感じています。