進化の鍵、「ソーシャルAR」

このようにAR界全体の成長が想定される中、are2010―AR界初めての国際カンファレンス―にて最もホットなトピックスだったのが「ブラウジング」だという事実は非常に象徴的です。なぜなら、それはかつての「Mozaic→Netscape」登場時点のウェブ黎明期にダブって見えるからです。

単純なブラウジングの次の段階、つまり「ポータルサイト、eコマース、サーチ・エンジン、ウェブ・コミュニティ、ソーシャルゲーム...」など、ウェブが創発したビッグ・ムーブメントは、まさにこれから!だと言えるのです。ARブラウザーは始まりに過ぎません。これから新たな時代に突入するARには、全く新たな価値創造が求められていくことでしょう。

そして、ここに於いて、未来への鍵は「ソーシャルAR」にこそあるはずだと考えています。

これは2008年以降のFacebookの躍進と優位性獲得の経緯を見る限り明確なのではないでしょうか?

本質的には、eコマースにしろ、ネット上のコンテンツ・ディストリビューション(デジタルコンテンツの流通サービス全般)にしろ、あるいはソーシャルゲームのマネタイズにしろ、あらゆる消費者行動に於いて、ソーシャルデータベースがARの体験性を向上できるようになってこそ、あらゆるマーケティング上の競争優位に立つことが可能だと言えます。

更に、ここで活用され、また形成される、現実世界と流動的な情報の交差した「ARソーシャルグラフ」こそモバイル時代のソーシャルデータベースとしては最強の情報ドメイン足り得ます。人の社会行動をどのように共有し、いかに新しい社会的コミュニケーションのインフラを構築して行くのか?現実との関わりが一段と深くなっているARでこそ、 その問いには有効な解が与えられるのではないでしょうか。