ARデバイスとしてのiPhoneとAndroid

そのモバイルARの世界についてですが、are2010会期中に大きな変化を感じました。それはもはやiPhone一人勝ちの時代はそろそろ終わりを告げたと言う事実です。そもそもiPhoneはモバイルインターネット自体の重要な牽引役だったこともあり、従来、ほとんどのモバイルARアプリケーションはiPhoneをその搭載デバイスとして進化を遂げて来ました(Android端末から始まったアプリケーションも、その後の主要ユーザーはiPhone主体と考えられます)。

ですが実際に会場を訪れていたAR系企業およびメディアのプレイヤー達はAndroid端末に於けるAR環境構築への強いモティベーションを明らかにしていました。これからは搭載サービスの自由度(広告や決済など独自の取り組みが可能。そもそもアプリ・マーケットの選択も自由)及びデバイスそのものの自由度(独自センサーや処理チップなどの組み替えが可能)が高いAndroid端末が主役になるのではないかと思われます。

AR向けにカスタマイズされた使い勝手の良いユーザー・インターフェイスと、個別に特化したARサービス向けのセンサーやチップなど搭載可能なAndroidが、ARデバイスの本命に躍り出る日は決して遠くないと感じます。

ただ、本当にARがモバイルインターネットの主戦場に踊り出すのならアップルもそれを座視している筈はありませんから、Android端末の進化に対応して、iPhoneに於ける様々な制約制限が開放されていくことも同時に期待したいと思います。
実際、iOS4からは毎フレームのイメージデータに対してのアクセスが許容されていますし、iPhone 4にはジャイロセンサーが搭載済みです。これらのスペックはARアプリを開発する上での大きなアドバンテージになりますし、体験性やサービス精度を向上させる大きな効果が期待出来ます。
iPhone 4対応のARアプリのリリースには、この先、大きな飛躍があることが想定出来ます。もちろん、我々頓智・もiPhone 4およびiOS4の優れたスペックを最大限活かせるセカイカメラ新バージョンの開発に余念がありません。