2008年6月28日の記録ーテッククランチ・エントリーシート

いろいろ振り返りついでに発掘したレジュメ。これは今年6月28日のTechCrunch 50 応募時に作成したエントリーシートの内容(一部抜粋)です。
ただ、システムはともかくビジネスモデルは、この時点での説明からは大きく変化しています。
TC50が来年も行われるのであれば準備までに残された時間は約半年。頓智・は08年の出場者としてデモブースへの出展が可能になるかも知れません。そうすれば、ぜひ本番サービスをひっさげて再び参加したいと思っています。来年は日本から何社出ることになるのか?アジア圏からどんなスタートアップが名乗りをあげるのか?非常に楽しみです。

■説明用レジュメ原稿(英訳前)

セカイカメラのプレゼンシート(レジュメ用)>

■サービスの詳細

我々が提供するセカイカメラは、「現実空間」を通じて「仮想世界=インターネット空間」にアクセスする情報探索ツールです。セカイカメラは当初 iPhone上の無料アプリケーションとして実現されます。

これは従来のインターネット・ブラウザーとは大きく異なり、iPhone上にライブ・ビューされる現実空間映像にデジタル情報をオーバーレイすることにより自然な情報アクセスを可能にしています。セカイカメラでは、AR(オーギュメンティッド・リアリティ)の技術をiPhoneへと導入し、情報収集サービスやオンラインコーマス・サービスを現実世界へと投影します。

たとえば、セカイカメラ・ユーザーが「秋葉原」でこのツールを利用する際、「パソコン特売情報」を直接店舗を眺めることにより入手できます。あるいはアニメ・キャラクターとのバーチャル・スナップショットを楽しんだり、発売間もないDVDの紹介映像や新譜CDの視聴などを現実のショップを眺めることで楽しむことができます。

あるいは、セカイカメラを利用するツーリストは「京都」観光中に“かつて存在した京都大仏をリアルな空間に、あたかも実際に存在するかのように”眺めたり、江戸期の“当時統治者だった将軍”とツーショットで記念撮影したり・・といった楽しみ方が可能です。

セカイカメラはデスクトップから現実空間へとインターネットを開放し、かつて考えられなかった視覚体験を可能にする汎用的インターフェイスなのです。


■ビジネスモデル詳細

セカイカメラが注目しているのは、現実空間のネットワーク化です。それは現実空間の付加価値、つまり実際のトラフィック(移動)やスティッキネス(滞留)、あるいはインタレスト(興味)やフォーカス(焦点)、ディープネス(深度)などをいかに“そのとき、その場所”の固有ポイントとして情報価値化するのか?ということです。

現実に人は固有の場所・固有の時間に集中して情報を受信・発信します。そのポイントをデジタル情報として取り扱い現実空間から浮かび上がってくる情報ネットワークを可視化することこそが我々のミッションでもあります。

具体的に「秋葉原」を考えてみると、

秋葉原の面積 82ヘクタール
秋葉原空間をメッシュ化すると.. GPSの精度(5m)平方で分割すると33,000個。空間ポイントは33,000個と考えられます。
・商用化できる空間ポイント 駅、バス亭、交差点、交番、学校、病院、公園、電気店メイド喫茶、コンビニ、アニメショップ、コスプレショップ、コミックストアなどを抽出すると約2,700箇所。10%弱が商用化可能であると考えられます。

我々は空間メッシュを「エアポイント」、商用化できるエアポイントを「エアスポット」と呼び、それらのエアスポットを企業向けに「期間レンタル」するための市場メカニズムを構築します。

また、エアスポットを用いた情報発信に特に関心を持つスポンサーとしては、

・コンビニ・チェーン
・ファストフード・チェーン
・デパート、スーパーマーケット
・家電量販店
・オタク向け書店、アニメショップ、グッズショップなど
・エンターテインメント産業(映画の予告編上映、新譜CDやゲームソフトの実店舗キャンペーン等)
・アパレル(趣味や価格、評判などをフィルタリングできる。在庫が無くてもECから取り寄せ可能)
・教育産業(学習塾、カルチャースクールなど)
・クリニック(わずらわしい待ち時間を短縮できるかもしれない)
・不動産業(賃貸情報を現実の建物を通じてアピールできる)
・旅行代理店(旅行ガイドだけでなく特定地域向けのコンテンツ提供も可能)
・ホテル、旅館、民宿(部屋の空き状況が即座に把握できる)
・公共交通機関
政府広報機関

などを想定しています。ちなみに日本全国の商用利用可能な情報拠点=エアスポットは概算で約2,315,000ポイントをカウントしています(2008年06月時点の推定値※)。

※推定値の概算・内訳

 ランドマーク 590,010
 業務用ビル 40,827
 公共機関 125,573
 教育施設 136,713
 飲食 271,923
 メディア 34,745
 金融 18,947
 サービス 676,433
 旅行 260,664
 小売 159,779
__________

 合計 2,315,614

■競合

セカイカメラの明白な競合プレイヤーはGoogleです。 Googleの擁するGoogleMapsとGoogleEarthは、そのアクセス性、体験性、情報の豊富さや多層性、マネタイズをするための仕掛けなどトータルに考えた場合圧倒的なパワーを有していることが明らかです。

この条件下での我々の戦略は「セカイカメラ with iPhoneインターフェイスがもたらす新しい体験性向上とエアスポットという新しいインターネット空間(現実にはサーバー空間にリアルワールドのトラフィックを集積したもの)の付加価値を総合的にいかに高めてくのか?の二点に集約できます。

セカイカメラの「一人称視点、空間認識型」インターフェイスの強みは「見たままに、そのとき目の前の場所」から得られる情報へのアクセスに特化しています。
これは、コンピュータリテラシーが相対的に低く、キーワードを用いた検索リテラシーを有していない層に対して、特に強いアピールを有するソリューションです。

つまり、デスクトップ・メタファーによる情報アクセスの限界の彼方を開拓するのがセカイカメラのビジョンでもあります。 また、セカイカメラの扱うエアスポットとは、グーグルのナビゲーションにより、ある時間ある場所にリーチしたユーザーに「その先のよりリアルな」情報ニーズを満たすための情報発信拠点です。

ですから、エアスポットの市場化とは、従来デジタルシフトの波を受けてこなかった、「地域広告、屋外広告」のマーケットをデジタル化する目論見だともいえます。
我々は、このポスト・グーグル的な情報媒体価値にフォーカスすることにより差別的優位性のあるサービスを実現していきます。