日本語とインターネット

なんだか必要が生じて奥さん(上海人で元女医の人)に日本語とインターネットをレクチャーしようということになった訳です。
彼女は日常会話はほぼ問題なく、そもそもコンピュータの操作経験も仕事上いくらかあったのですが、来日後の長い主婦生活で「テクノロジー疎遠化」「ビジネス会話は駄目駄目」って感じに相当パワーダウンしてしまい、じゃあそろそろちゃんと社会復帰して働くぞ!ってところで「ちゃんとした日本語話せなければ!」と「ネット使えないとマズいぞ!」ってなったのですね。

で、日本語は僕が今受けている英会話トレーニングメソッドをそのまま日本語に応用しようと思っています。これは単純に言うと、毎回一時間内でテーマを決めてとにかく会話を重ねるという方法です。簡単ですけど、その都度苦手な課題を攻めまくるので意外と力がつき易いと思います。
あと、インターネットの方は、ひとまずiPodTouchを普段使い倒しているんで(これはCNETの景品を分捕られてそれきり彼女の物になってしまったといい経緯があります)、それに便乗してiPod/iPhoneから入って、実用的インターネット生活というのをレクチャーしようと思いました。


※1

ところが結論から言うとこれは失敗でした。つまり、PCではなくiPodだと「ファイルシステムとかそういう基礎」をすっとばして、単なるネットリテラシー周りだけ教えればオッケー!しかもモバイル系のなんちゃってインターネットではなくリッチなフルインターネット。と思っていた目論みは完璧に外れてしまいました。
実は滑り出しは凄く良かったんです。グーグルで検索してページをブラウズするという流れだけ取り出すと使い勝手や速度などの面でじゅうぶん実用に耐えますし、むしろ用途によってはこちらの方が高速で効率よかったりするんですよね。
しかも、PCに移行しても違和感無く移れるし・・という読みはほぼ的中。「なんでこんな便利なものを今まで知らなかったのか!?」と文句を言われる所まで進んだ訳です。なにしろ手ほどきとかしなくても、マニュアルとか読まなくても直感的にどんどん使えるのは凄いなあと。


※2

ですが、そこから先でぼろぼろと障害が・・。具体的に言うと、

1)結構な頻度でブラウザが落ちるし、そうすると途中の編集内容とか全部クリアーされてしんどい。
2)画面が広いとはいっても、やはり画面の拡大縮小など使ってやりくりしないと不便なレベル。
3)アレコレ使っているとどうしてもマルチウィンドウになってしまうし。そうなると画面切り替えなどストレスが大きい。
4)ソフトキーボードを使っての文字入力はローマ字入力。そもそもそれに慣れていないので入力効率が低い。

そんなところでしょうか?自分自身が感じていた、

1)軽快なインターフェイスでモバイルによるフルインターネット体験。出先でも普段使っているページがアクセス出来る。
2)ローマ字入力は基本なので速度的なマイナス要因はなし。画面の拡大縮小なども我慢できるレベル。

といった程度のプラス要素(あるいはマイナスだとしてもトレードオフとして納得出来る範囲)では、ケータイ・インターネットを超えられないのですよね。そもそもケータイ・インターネットもマニュアルいらずですしね....。


※3

つまり、

1)文字中心で上下スクロールオンリーだから簡便で高速。
2)テンキー入力で楽々。
3)マルチ画面は無し。
4)基本的にクラッシュはしない。

というような部分でいまだに(プアでローテクと思っていた)ケータイ・インターネットは高い支持を受けられるサービスなのですね。
限られたリソースとインターフェイスの中で箱庭的に構築された物とはいえ、考えようによっては「無駄を排除」「シンプルイズベスト」「端末操作に集中できる割り切り設計」「少ないリソースでも大丈夫な省エネ設計」というように、前向き評価可能なのだなあと。


※4

長いスパンですと今のケータイ・インターネットが主流としてサバイバルすることはなく、iPhone以降のモバイルインターネットへと確実に進化を遂げて行くものだ・・としても、そのためには、テンキー+小画面+簡易化されたネット体験の組み合わせ(これはiPhoneになっても根本的には変革されず、単に「リッチ化」をされたに過ぎない)を凌駕しうる本質的に新しいネット体験をもたらすべきなのだろうと考えます。そういう思いを新たにしました。

日本語は日本語で簡易版とかは無いのだけど、インターネットは実はあれこれあって、実はケータイ向けの箱庭バージョンにもじゅうぶんに(まだ今のところは)存在理由があるのだということだと思います。


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※1 ALTOとMAC。すべてはここから始まった。
※2 iPhoneのオーラは奥さんには通じなかった。
※3 絵文字インターフェイス。どんどんケータイ化しつつあるiPhone
※4 僕自身にとってのiPhoneは、もはや一台目のケータイとして定着しました。
※5 セカイカメラは圧倒的に新しい体験性にまで辿り着けるのか?(がんばります!)