Crunchies & SXSW スタートアップトルネードはサンフランシスコからテキサスオースティンへ..

頓智も昨年ノミネートされた Crunchies(TechCrunch が主催するTechスタートアップのグラミー賞)の2010年バージョンが先ほど閉幕しました。マークピンカス氏( Zynga社 CEO)や Dailybooth は二年連続受賞。昨年は影も形も無かった(様に見えた)Groupon はベストCEOを獲得。そして、ベストスタートアップには進境著しい Quora が選ばれました。


そしてTech系の(特にソーシャルウェブ系の)熱い視線は既に SXSW へと向かっています。 SXSW(毎年3月にテキサス・オースティンで開催される巨大イベント)は 2007年の Twitter vs Dodgeball の戦い、そして 2010年の Foursquare vs Gowalla の戦いを通じて大きなインパクトをもたらしましたが、今年、2011年3月にいかなるスタートアップが世界を震撼させるのか?Quoraではもう既に(気が早い!)熱い議論が巻き起こっています。

そこで、話題のスタートアップ達のサービスを体験してみました。まず、Foodspotting ですが、基本的にソーシャルネットワーキングによるグルメ情報シェアリングなのですが、非常に「エンジョイ!」なムードが素敵です。サインインしただけで、自分も何か気に入ったメニューやお店をアピールしたくなります。

そして、Plancast。これはあらゆるイベントをシェアできるサービスですが、少なくともSXSWには必須と言えるサービスで、ソーシャルグラフを経由して参加イベントの様子が分かると言う優れものです。実用性だけでなく、眺めているだけでも非常に楽しいです。あと、Hashable と GetGlue。Hashable はツイッターのハッシュを使って、誰とどこで出会ったか?などの日常のアクティビティを公開できるサービス。GetGlue は映画や書籍などあらゆるエンタメオブジェクトに Check-Inして共有できるサービスです。

そもそも、既に Quoraはリアルタイムに質問を投げられて、それに実名の回答がどんどん寄せられる(Q&Aがストリームになる)サービスとして支持を受けているのですが、恐らく SXSW の会期中にもかなり使われると思います。
少し前からハマっていたInstagramは「写真のTwitter」、その場でソーシャルにスナップフォトを共有可能です。Plancast で予定を立てて出掛ける→出先で分からない事を尋ねる(Quora)、始めての場所でもソーシャルを通じて調べて、美味しい物を食べられる(Foodspotting)、それをビジュアルに記憶してソーシャルに共有できる(Instagram)、会期中の出会いを簡単にレコーディングできる(Hashable)、気に入った音楽や映像をクリップ出来る(GetGlue)...。こうしてザザッと並べても導線がキレイで、Userエンゲージメントが明快です。

そして、どのサービスでも TwitterFacebookを使ったサインインが基本、Friendインビテーションの流れもほぼ同様。データストリーミングの見せ方もそれぞれ似ています。ただ、コミュニティ品質やその場が醸し出すムード/質感に固有の価値観が宿っている様に見えます。考えてみれば、フェイスブックツイッターにも、早い段階から固有のムードや質感がありました。
こうした場合の「プロダクト」は、いわばイコール「サービスでありコミュニティでありストリーム」なのですから、どう考えても従来型の「製品」開発とは大きく発想とスタンスが変わって来ます。ある意味、日本の成長市場であるソーシャルゲーム系スタートアップが強味とする部分とも響き合います。もっと簡単に言うとオモテナシの精神ですね。

残念ながら、日本のスマートフォンアプリが陥りがちなのはウェブサービスのメカニズムが無いまま、単なるユーザーインタラクションのみに開発の中心軸が集中しているケースではないかと感じるのですが、それでは継続的連続的なユーザー向け付加価値とプラットフォーム性は構成できません。
ここで取り上げたサービス群はスマートフォン向けアプリのインタラクションとウェブサービスのメカニズムの双方で成立するように巧妙にデザインされています。そういった面も非常に学ぶべき点です。

また、SXSW の様な非常に大きなメディアイベントそのものが、ある種の巨大実験場の役割を果たし、そこで受けたサービスが口コミを通じて(これまたソーシャルに)世界中に伝播する、、。そのダイナミズムから学べる事もとても多いと考えます。日本の起業家の皆さん、是非SXSWでお会いしましょう!そして世界規模のバトルに参戦しましょう!

補足:上のアプリケーション/サービス以外に、GroupMe、Yobongo、FastSocietyなどのNear-byでAd-Hocなコミュニケーションを支援する一群のスタートアップがあります。これらも要チェックです。
ただ、Quoraでも指摘されている様に、ここで上げた様なサービス以外にFacebookTwitterFoursquareなど、パイオニア企業から新機能がリリースされる可能性、さらには全く不可視のステルス企業がSXSWからローンチする可能性、などまだまだ予断を許しません。勿論、「domo」も全力で攻めますよ!