ジャパニーズソーシャルプラットフォームの世界展開を考える..

IVSで触発を受けて考えた事をもう少し書いてみたいと思います。とにかく今回のIVSでは「日本のソーシャルプラットフォームが世界展開を真剣に考え始めた事」および「その主戦場がグローバルな舞台に大きくシフトしていて、特にアンドロイドが台風の目になりつつ有る」という発見が大きかったのです。
それは言うまでもなく「フェイスブックやジンガの世界的な展開に対して日本のソーシャルが動き始めた事」と「iPhoneが最初に切り開いたスマートフォンの市場をAndroidがオープンの力を活かして多くのプレイヤーを巻き込み始めた事」とがはっきりした変化の兆しとしてIVSで垣間見えた事を意味します。

ただ、そのような動向を見るに付け、スマートフォンソーシャルゲームには多くの制約された見方が多く散見され、例えば「アイフォンとアンドロイドのどっちが電話として優秀か?」といった物から、「ソーシャルゲームなど情報弱者から小金をむしりとるだけのバブル産業だ」といった物まで、ひどく狭隘な視点論点を見受けることがあります。
でも、実際にはスマートフォンをその電話機としての個体属性を幾ら云々しても意味はありません(電話機性能を云々する事をどうこう言うつもりはありませんが、そこに新産業を見いだす視点は有りません)。
ソーシャルゲームにしても実はゲームスタイルは多様に進化を遂げていますし、コンテンツをいかにデリバリーするのか?から、どのようにサードパーティを巻き込んで生態系としてスケールして行くのか?の点でも日々試行錯誤が続いている、高度な競争環境が繰り広げられていることを忘れてはいけないと思います(ゲーム脳批判的な新産業批判は常に有りますし、その様な反射的反応は決して無くならないと思いますが)。

ただ、これだけガラパゴスを叫ばれている日本のテクノロジー領域で、スマートフォンという新しいビークルを駆使し世界的な競争力を有したソーシャルゲームを、しかもプラットフォーマーとして仕掛けて行けると言う千載一遇の機会は活かしてしかるべきだと考えます。
また、モバイルで多様なアプリを楽しむ環境を届け、それに応じて多くのプレイヤー達が相互補完的にエコシステムを構成できるという状況は、兼ねてから日本のモバイルが得意領域としており、コンテンツやビジネスモデルなどの面で数多くのアドバンテージを有しています。これは忘れられがちですが、フィーチャーフォンでここまで高度なインフラとユーザーリテラシー、ビジネスシステムを確立している国は日本と韓国以外にはなかなか存在しません。

そういった中で(世界的規模の俯瞰で考えると)日本からスマートフォン×ソーシャルゲームのビジネスが世界展開を真剣に志す事の意味/価値は非常に大きいものがあります。それこそDeNA/GREEの実現している様な垂直統合的ゲーム環境は国際的に視ても先鋭的であり、特にアジアの新進企業にとっては羨望の的です。シリコンバレーでさえ同等の規模と内容を備えた物はありませんし、フェイスブックが一人勝ちに近い現状ではあのジンガでさえ独自環境を構築出来ていない状況なのです。

これは、まだまだ個人的な印象論ですが、日本のデバイスが持つ高度なインテグレーションと、世界的にも相当スケールしているサブカルチャーコンテンツの受容状況、そしてソーシャルゲームプラットフォーマがもたらすであろう顧客体験のクォリティや日々改善されて行く学習曲線の立ち上がりなど考え合わせると、日本発のプラットフォームにも幾らかの掛金が積まれる可能性があると感じます(現にDeNAはngmocoの獲得をいちはやく決定して世界的に注目されました)。

シリコンバレーでの成功事例を孫引きして日本の惨状を嘆くのは非常に簡単な事です。なんとなく何かを言った気にもなりますし、現状批判としてはアリな気もします。でも、本気で本質的変革を求めており、それを世界規模で、失敗を恐れずチャレンジする気概があるなら、バレーでのリアルタイムな変革に対して、日本から自分たちの武器を携えて参戦するべきだと思います。
そして、それは別にグーグルやフェイスブックのコピーである必要は全く無く、むしろ日本発ならではの付加価値を積極的に活かしたユニークな物の方が意味があると思います。
そういった意味でDeNAGREEの世界市場への野心を僕は非常に素晴らしいと思いますし、それと並行して多くのソーシャルゲームプロバイダーもグローバルな戦いへと軸足を移せると、スゴイ事が起こせるんじゃないか?と真面目に思っています。

頓智は?と言うと、それこそ我々こそが、日本発ならではの拡張現実を世界に問えるのだ!と日々燃えています。

Stay hungry, stay foolish. Steve Jobs