iPhoneとセカイカメラ(2)

さてさて、なんとなくブックマークされているのが嬉しかったので(苦笑)、もう少し書いてみますね「セカイカメラ講座」。

今のところセカイカメラiPhoneAndroidで動いています。3GSにコンパスが搭載される迄は圧倒的にAndroidセカイカメラ向きだと思っていたのですけど、コンパス搭載されたiPhoneは、その他の新規機能など含めて非常にセカイカメラ向きなデバイスになりました。
そうそう、実はシリコンバレー在住のかづひさんには既に AdHoc バージョンのセカイカメラiPhone OS 3.0対応)を現地テストいただいて、コンパス動作する事が確認できています。

それはさておき、装置的な意味では(画像認識がそもそも構造的に許可されていないとか)実装上の問題が多数存在した iPhone なのですけど、それを補って余りあるセカイカメラ的属性があったのでした。
それは単純な話 iPhone にはキーボードなど余分なボタン類が目立つ所には一切無いという点です。まぁ、とにかくボディとスクリーンがシームレスに同居していて、操作系(インプット)は表示系(アウトプット)と限りなく一体化をしている。これは素晴らしい素材デバイスだと言わざるを得ません。
まるでモノリスの様な薄いプレートが情報メガネ的な存在感を放っている。これはセカイカメラiPhone 上で実装しようと思った大きな動機付けのひとつです。

なんだかんだ言っても、ウェブというのは書籍とか新聞雑誌のページメタファー(ホームページとかマークアップとか、そもそもそういった概念を前提にしている用語法ですよね)を採用することで、大いなるポピュラリティを獲得しましたし、二次元スクリーンをグラフィックユーザーインターフェイス上で操作する利用スタイルとも親和性が高かった訳です。
ですが、現実空間をリアルタイムにフィルタリングするべく設計しているセカイカメラに於いては、この静的な(ページとスクリーンの)組み合わせは積極的に否定する他無いのです。つまり、『紙的な媒体を出版する』というウェブ的メタファーからいかに自由であるのか?は、セカイカメラのルックアンドフィールを考える上での前提条件です。

エアタグの浮遊感覚は従来のウェブの静的な存在感への明らかなアンチです。ただ、それがいまだに二次元スクリーン内にとどまっていること。これは現在のセカイカメラの限界だとも言えます。スクリーン上の表現に留まっている限りはウェブのページメタファーからの離脱は不十分です(そして、SK2はそれを乗り越える為の思考実験なのです)。

よくセカイカメラの事をクラウド×クラウドというコンセプトで説明するのですが、本当はクラウド×3なのかも知れません。それは集合知タグクラウドと仮想化されたクラウドサーバーと気象現象的なエアタグの(=粒子状の)ビューイングを掛け合わせた製品なのです。

そして、これがやがてiPhoneのスクリーン平面を超える時に、さらに新しい表現層が構成できるだろうと思っています。プロジェクター型のARやアイトラッキング方式の空間表現など既に多くの技術シーズが現実化されている今日、セカイカメラの発展系はまだまだ膨大な広がりを持っています。頓智・としてはセカイカメラ for iPhone をリリースすることは本当に小さい一歩なのです。

(つづく、、かも知れません)