セカイカメラはソーシャルメディア。

セカイカメラとは、もの凄く簡単に説明すると「ソーシャルタグ(AirTag)を“その場、その時”を通じて( here and now )共有するためのサービス」です。
ユーザーは現実空間で「タグを書ける」「タグを読める」「タグを保存できる」「タグを送受信できる」ので、現実空間の関心事項をユーザー同士が簡単に共有することができます。

そしてその当初のキラーアプリは「タグのコレクション(スタンプラリー的なエアタギング)」と「セルフタギング(お互いの情報を簡単に可視化できること)」ではないか?と考えています。

パソコンが生まれて約20年。インターネットが約10年。2010年には世界中のパソコンは10億台を超えるそうです。 そしてスマートフォンも約2億台まで到達する勢い...。面白いなあと思うのは、すでにそういったデバイスやネットが無い状態が想像しにくくなっている事です。少なくとも日本国内でネットにワイアレス接続できないパソコンやケータイはかなりイメージしづらい状況です。

Wi-fi接続が本格的に高速化&安価になるのが2009から2010に掛けてなので、そうなるとネット接続はワイアレスが当たり前になるでしょうし(ノートPCに於いては既に当たり前になっていますね)、その頃にはデスクトップPCという利用スタイルやネット接続機能の無い携帯電話はかなりマイナーな存在になるでしょう。

ユビイキタスという言葉さえ風化して、無線環境でネットワーキングする高速端末が当たり前になるのは目前です。

そうなると面白くなるのは現実空間で近接通信することがインターネット接続とシームレスになるだろう近未来です。 例えて言うと、自分の飼い犬の居所が他の人のiPhone経由で探知できるような世界ですね。 直接その飼い犬がiPhoneを持っていなくても(苦笑)、その周囲の誰かが持っていればいいという世界です。

ゴーストが当たり前に存在するセカイ。

そういった利用状況が当然になってくると、OSとかブラウザの位置づけとか機能的な特徴、使われ方なども大きく変わるのだろうなあと思います。
あとは、そうったネット上の認識対象が単なる物理的存在としての「犬」だけに留まらず、仮想エージェント的な存在としての「犬」さえネットに息づき始める時代も遠く無いでしょうね。
かつて、サイバーパンク的世界観で語られていた「ゴースト」と呼ばれる電脳的エゴの存在もすぐ目の前に迫っていると思います。

そうなると何億台というデバイスのオーダーに何千億というゴースト的エンティティが接続する世界が到来するのでしょう・・が、しばらくの間はこういった世界観には長い抵抗の時代が続くのかも知れませんね(※期待出来るのはポケモン世代以降か?)。

インターネットと近接通信(iPhone 3.0 では PtoP 通信がサポートされます)が一般化すれば、近接範囲にいるiPhoneにキャラクター情報を受け渡す事でバーチャルペットの共有が可能になります。 つまりバーチャルペットを複数ユーザーが同時に眺めたり触ったりする様な楽しみ方が可能になります。

アドホックなペット共有と言うのは面白いサービスに展開できると思います。さらにレア感が演出出来れば、ともっと盛り上がりそうです。たとえばセカイに供給するペットの数を限るとかシーズン毎に特徴や行動のパターンが変わるとか、新しい属性がその都度発表されるとかそういう感じですね。入手日が誕生日。ほぼリアルタイムに成長しながらいろんなことを覚えて行く。

そういった拡張現実型のペットはいかがでしょうか? デザインとかキャラとか本当に全部違うというのがいいなと思います。個別に名前を付けるのは当然として、いろいろな特徴や属性はダウンロード時に決まっていて変えられない方が良さそうな気がします。たとえば無茶苦茶デカすぎてビューファインダーに収まらないとか、逆に小さすぎてよく見えないとかも面白そうですね。

iPhoneのカメラはパーソナルな撮影用という縛りを超えた使い方が出来る。

つまり常時目の前の映像を遠方に流し続ける様な使い方。たとえていうと、テレビのニュースキャスターがハンディ・カメラを抱えて移動している所をテレビ視聴者が眺めている様な使い方です。
考え方としては2タイプあって、ひとつは潜水艦に乗っている人がカメラを通じて遠隔地の命令者から指示を受ける様な使い方(コマンドタイプと呼びましょう)。あとはハンディ抱えてその場その場の面白い発見を大勢に伝える様な使い方(ハンディタイプと呼びましょう)。

コマンドタイプはその場に不慣れな人や作業に習熟していない人が他の人からの支援を受ける様な感じ。サンダーバードとかにそういう場面が合った様な気がします。ハンディタイプは、まさにTVの醍醐味であるリアルタイムの好奇心をくすぐる探検隊的な使い方になるでしょうね。

テレビ電話だとカメラは常に自分向きですけど、セカイカメラだと向こう向きにカメラを構えて現実をどこかの誰かに見せてあげる様な使い方が面白いと思います。
現実を共有する新しいスタイルが提供できそうな気がします。他の人から指示を受けながら現場レポートする様なミニミニ放送局とかがすぐに出来そうですね。 あと、セカイカメラだとタグ入りで撮影できるのでナレーションや解説もリアルタイムに出来るという面白味があります。

特にiPhone 3.0以降はビデオ撮影やビデオカンファレンスが当たり前になりそうなので、期待大です。