『クラウド時代の「open mind」社会』とは?(1000 English Speakers の元原稿より)

今日は「domo」開発のバックグラウンド、題して『クラウド時代の「open mind」社会』についてお話します。

あなたは目の前に居る人を信用することができますか?これは長い長い人類の歴史上でも、非常に大きな問い掛けだったと思います。人は共同体を形成し、そこで生きて行く社会的存在ですが、いったん共同体の外に出た瞬間、コミュニティを超えた相互理解は非常に難しくなります。

それは常に超え難い、生存を賭けた闘争を避けられない戦いであり、歴史的に何度も何度も繰り返され悲劇の原因であるとも言えます。思想信条、宗教的信念、民族的結束、国家的威信、様々な集団的価値観と価値観の闘争が繰り返されて来ました。
150人の法則と言う概念が有りますが、人が影響力を及ぼし合うことのできる集団の最小単位は古今東西、このくらいの規模だった様です。ローマの軍団でも村落共同体でも、顔の見える範囲には一定の制約が有ります。ですから、血縁にしろ地縁にしろ、人が安定的に継続的関係を形成出来るスケールには一定の範囲が有りました。この範囲を超える事がなかなか難しいという限界性が常にあったのだろうと思われます。

ただ、それと同時に、6度の隔たりという法則という概念も有ります。つまり、人から人へ関係性のネットワークを辿って行くと「たった6度」を経る事によって、世界中の人と人がお互い繋がり合えると言う仮説です。
特に2000年代以降の情報爆発は、クラウド上の共同作業を通じた新しい共同体、それはウィキペディアフェイスブックツイッター、ユーチューブ、ユーストリームなどの相互的な情報発信システムを通じて、時間と距離を超えた、新たなコミュニティを実現しました。これは近代以降どんどん解体された旧い共同体を解体していくと共に、全く新しい共同体をジェネレートする大きな動きです。

我々が考えている新しい関係性の哲学は、クラウドを通じてシェアされる価値観のネットワーキング、新たなコミュニティを現実空間上にマッピングする事によって「目の前にいる存在が信用に足る。それどころかお互い共感し合える事で、共同作業のできるコミュニティを形成し得る」と言う可能性を押し広げようとしています。それは目の前に見える範囲のコミュニティでさえ、新しい可視化技術によって再定義するでしょう。

皆さんは既にクラウドで繋がり合っている関係かも知れませんし、もしかするとお互いがコネクトする事で多くの創造的な可能性を発揮できるポテンシャル・パートナーかも知れません。
既にソーシャルウェブの浸透によって、お互いがお互いを知る事、そしてそこから新しいコミュニティを形成可能である事、そして、より創造的なコミュニケーションをスピーディに行う事などが現実に可能になっています。

ただ、それが実際の社会行動、ある場所を共有したり、現実に出会ったり、お互いが何かのキッカケで話し合ったり、何かの仕事で接点を持ったり、、といったアクティビティと重なり合う事が出来ると素晴らしいと思いませんか?
クラウドの叡智が現実の人間存在と重なり合って我々をエンパワーする事。そういった時代は目前なのです。我々がdomoでやろうとしている新しいリアルソーシャルの共感関係は、その第一歩になるのではなないか?と考えています。

Open Yourself!!

注)ちなみに英文原稿とは大きく異なりますが、これはスピーチ用に大幅に手を加えたからです。ただ、伝えたかった内容は基本的に変わっていません。domoの背景にある世界観をできるだけ率直に言葉にしてみました。ですから、domo自体の説明と言うよりは透過社会(スケスケ社会)の解説文と言うべきかも知れません。