Google WaveとSekai Camera

今後開発されない事が発表されて大きな波紋を呼んだGoogle Waveですが、個人的には非常に思い入れが有ります。実は Google I/O 2009 での発表直後に、頓智・では、セカイカメラとWaveの融合を構想していたのです。

どういうことかと言うと、AirTagからWaveにリンクする事で、その場その場の記憶がWaveによってPlaybackされる、そんな機能を是非アンドロイドバージョンのセカイカメラに実装をしたいというアイデアを考えていたからです(GoogleのTeamとも早速実装に向けた相談をしました)。

最初にWaveに触れた時に感じた最初の可能性は、ソーシャルなコミュニケーションを簡単にプレイバックすることが出来る!というポイントでした。そして、プレイバックスするトリガーとして、その場その場のエアタグが機能して「現実空間内の記憶の入り口になる」というイメージが鮮烈に有ったのです。

たとえば、出先で気付いた事や記憶しておきたい事をその場その場にWaveで残し(入力方法としては音声認識が向いているかもしれません)、それへの入り口がAirTagとしてプカプカ浮かんでいる世界。それを通じて人と人とが実際の空間を通じて非同期的に出会い、さらにそこでどういった交流を図ったのか?が過去をPlaybackする事で疑似体験的に振り返れる訳です。

記憶を現実空間そのものにアーカイブして行く世界観は歴史感覚を書き換えるのかも知れないと考えました。

Google WaveとTonchidot

頓智・自身にとってもGoogle Waveは欠かせないツールです。
会社説明などで用いている「頓智・の資本は頓智です!」という言葉は正直偽らざる所で、新しい視点、新しい構想、新しい価値観、新しい知恵。それらを動的に育んで行く事こそが成長のエンジンだと考えています。そうすると、Waveというのは非常に強力なツールだと言えます。

なぜなら、斬新で有効なアイデアというのは「結論」だけではなく、その発生プロセスや、それを再帰的にどんどん組み替え直す様な動的構造として立体的に捉える事で初めて意味を持つからです。

今、セカイカメラの新機能や新サービス、ビジネスモデルや事業構造などはGoogle Waveで日々議論されています。そして、随時適時新しいアイデアをどんどんインタラクティブに書き込みます。
その中で少し過去に戻ってコメントしたり、より膨らませたいトピックが有ればさらに分岐して Wave を立ち上げます。

Wave の良い所は、とにかく思考のプロセスをコーポラティブに育てて行く事が出来る事です。
ライブにインタラクションすることも、時間を置いて必要箇所にコメントを置いて行く様な使い方も可能です。リアルタイムにコミットすることも、非同期でキャッチアップして行く事も可能なのが非常に魅力です。


・その場で対話的にアイデアを書き記せる

・都度都度、必要な参照資料にアクセスし易い

・途中参加でもアイデア造りに参加できる

・過去のアイデア分岐に戻ってコメント出来、差分だけ読める


など、アイデア醸造と共有に関して強力な仕様が多く組み込まれているのがWaveの優れた点だと言えます。

その結果、結論だけシェア!という余りクリエーティブではない方法に陥ることなく各議論の参加メンバー以外も含めて後追いでアイデア生成プロセスをシェア出来ると言う非常にクリエーティブな共有関係が形成できます。
これが頓智・にとってWaveが重要で有り続けている理由なのです。もちろん機能の複雑性による初期ハードルの高さや多目的ゆえの広まり難さなど難題は多々ありますが、それを考えてもWaveのもたらす創造性は非常に優れていると言えます。